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ハワイ島のハイキング/ナパウ トレイル

■難易度 ★ ★ ☆ ☆ ☆
■往復 3.2km (マウナウル駐車場からプウフルフルまで)
■所要時間 2時間 /
 ※幼児連れ(3歳) 1回目=4.5時間、2回目=2.5時間
■幼児連れハイキング ○ 下記参照
■出発地点
ハワイ火山国立公園内(キラウエア火山/Hawaii Volcanoes National Park)。国立公園ゲートを入ったらクレーターリムドライブを経由し、チェーン・オブ・クレーターズ・ロードに入ります。3.5マイル(約5.6km)ほど南下すると「マウナ・ウル」の看板が出るので左折。そのまま進むと駐車場です。

プウフルフルの山頂から見るプウオオ火口

キラウエア火山には数多くのハイキングコースが整備されていますが、このナパウトレイルは火山が大好きな人はもちろん、ボルケーノは初めてという人にもお勧めしたい素敵なトレイルです。コースはマウナウル駐車場からスタートしてナパウ・クレーターまで全長7マイル(11.2km)あり、これを3つのパートに分けると下の表のようになります。

1. マウナウル駐車場 → プウフルフル 1時間/1マイル(1.6km)/高低差73m
2. プウフルフル → マカオプヒ・クレーター 2〜3時間/4マイル(6.4km)/高低差165m
3. マカオプヒ・クレーター → ナパウ・クレーター 1時間/2マイル(3.2km)/高低差61m
※上記は全て片道の時間と距離

私たちは上の表の1番の部分を歩きました。2番より先(プウフルフルより先)に進むには入山許可が必要なので、1番までの往復が一般的なコースだと言えそうです。というわけで、ここではマウナウル駐車場からプウフルフルまでの往復2マイル(3.2km)を紹介します。地図中では青の太い点線の部分です。

このコースを歩く一番の楽しみはプウフルフル(噴石丘)の山頂から見渡す景色の素晴らしさ。現在も活発な火山活動を続けているプウオオ火口が見えるんです!(左の写真) 少し前までは、プウオオはヘリコプターツアーに参加しなければその姿すら見ることが出来ないと思っていました。溶岩が噴き上げる火口を上から覗くことはさすがに出来ませんが、遠くにモクモクと噴煙を上げる姿を見た時には大感激でした。360度の絶景パノラマが楽しめるこの展望台では、マウナウル(溶岩楯状地で現在も活動中の噴火口あり)、マウナロアとマウナケア(共に4000m級の山)、一面の溶岩原、オヒアの森などの“いかにもハワイ島”らしい景色を堪能できるだけでなく、ハワイ島の大きさそのものを肌で感じることが出来る場所でもあります。


プウフルフルから見える絶景 (▲クリックで画像拡大) 

滑らかな溶岩の上を通るこのコースは舗装道路のように歩きやすく、大人なら往復2時間程度のハイキング。トレイル上には溶岩を積み重ねたケルンが道しるべとして置かれ、迷うことなく安心して歩けます。以前は黄色のゴム製のプレートが目印として所々に貼られていましたが、2009年夏に歩いた時には無くなっていました。

コースは全体的にとてもなだらかな坂になっているようですが、起伏はあまり感じません。高低差「73m」は、噴石丘であるプウフルフルの標高がこのほとんどなのではないかと思うほどでした。プウフルフル(上の写真)はその名の通り、山でなく丘という表現がぴったり。トレイルを歩き始めると前方に見えてくる、こんもりと木の茂った小さな丘がそれです。拍子抜けするほど低いので、『ここから眺める景色なんて期待できそうもないなぁ…』と、高をくくっていました。この丘は3歳児の足で20分程度のなだらかな坂道、息がきれるほどではありません。

それから、このトレイルの下には30年ほど前まで現役で使われていたチェーン・オブ・クレーターズ・ロードが埋まっているのだそうです。溶岩流に飲み込まれてしまったため道路は現在の位置へ移動したんですね。ハワイ島ではきっと「よくある話」なのでしょう。

ネネ(ハワイガン)が飛来してくることでも有名です。ネネはハワイの州鳥であり、ハワイ固有種。私たちはトレイルの上でくつろぐ4羽に出会うことができました。
絶滅危惧種で保護鳥なので、いたずらしたりエサをあげることは禁じられています。だからそっと観察しました。すごくカワイイです。



子供と一緒に歩く

一番最初に歩いたのは、子供が3歳8ヶ月の時。全体的に見て歩かせやすいトレイルです。またプウフルフルも危険を感じるような場所はなく安心して登れます。ゆっくりマイペースで歩けば、幼児がいるご家族でも楽しめるコースでしょう。抱っこひもに赤ちゃんを入れてハイキングしているファミリーにも出会いましたよ。他にも何組もの人に会いました。人気のあるコースです。

トレイルのルートは滑らかな溶岩の上です。けれど滑らかとはいえ、溶岩には鋭い部分があります。転ぶと大怪我を負うことがあるので、是非長いパンツを履かせてあげて下さい。ここは出発地点の標高が975mあり、真夏の7月・8月の晴れた日でも涼しい風が吹いています。歩いていてもあまり暑さを感じなかったので、長いパンツが苦になることもないと思います。


ケンシン坊には手袋もさせてみました。手の怪我予防のためです。出会った方々から『いいアイデアね!』と褒められたのですが、アクリル製ではさすがに暑かったらしく、途中で外してしまいました。最近では子供用の軍手を用意していきます。7歳になっても溶岩につまづいて派手に転んだりすることがあるので、『軍手をしていて良かった』と思うことは時々ありますね。
この周辺は非常に天気が変わりやすい場所でもあります。天気が悪くなると一気に気温が下がります。大人も子供も長袖と雨具を用意したほうが安心です。また、雨が降ると溶岩の上は滑りやすくなるのでご注意下さい。溶岩の地盤がもろい箇所があるのでトレイル上から外れないで下さいという注意書きもありました。

トイレは出発地点の駐車場にあります。清潔でしたが、確か水洗ではなく手を洗うことができなかった記憶があります。また、この周辺やこの先のデッドエンドまでの道のりで食事が出来る店などはありません。最短な所でキラウエア・カルデラのボルケーノハウスまで戻ることになります。それでも車で30分近くかかりますので、ランチなどはあらかじめ用意されたほうが無難かも。飲料水は多めに、お子さんのおやつ、日焼け止め、帽子もお忘れなく。

我が家は7月、8月と続けて2回歩きました。1回目はゆっくり遊びながら、そして休憩も沢山とりながら歩いて往復4時間半、2回目は先日歩いたばかりということもあってか2時間半でした。子供は好奇心旺盛で色んなことに興味を持ちます。時間配分も思ったとおりに進まないことも多々あるので、余裕を持ってスタートしてくださいね。午後出発の方は暗くならないうちに帰られるようにして下さい。
ここは本当に天候が安定しない場所です。いま青空であっても数時間後にどうなるかは全く分かりません。このトレイルの醍醐味はやはり展望台からの景色だと思うので、もし晴れていたならば行きはなるべく早く展望台に着けるように頑張ってみて下さい。そのぶん、帰りにゆっくりということで(笑)

溶岩の上にはよく見ると緑の石が落ちています。これはカンラン石と言って溶岩に含まれる成分の1つ。これが砕けるとハワイ島では名高いグリーンサンドが出来るんです。沢山見つかるので、お子さんと一緒に足元を探してみるのも楽しいですよ。でも国立公園内のものは石でも植物でも持ち出すことは禁止されています。それに溶岩類を持ち帰ると火の女神ペレの怒りに触れて不幸が起こると信じられているので止めておきましょう。

■参考
→ハワイ島 キラウエア火山の観光ガイド
→ハワイ島 キラウエア火山の観光計画
→旅行記 2005年7月27日 『ナパウトレイルに挑戦(その1)』
→旅行記 2005年8月3日 『2度目のナパウトレイルと夕暮れデッドエンド』

◆時間の目安と見える景色◆ ※時間はストップウォッチ形式に表示します (単位は分)
0:00
マウナウル駐車場に車を止めて歩道を進むと、左手にトレイルの入口が見えてきました。今日は晴れ! 右手にアア溶岩(ゴツゴツの溶岩)を見ながら、滑らかなパホエホエ溶岩の上を歩きます。
0:09
マウナウル(右)とプウフルフル(左)が見えました。視界を遮るものがないので、気持ちよいぐらいに周囲が見渡せます。私たちって、いま溶岩の真ん中にいるんだなあ。歩き出して10分経たないのにもう休憩してしまいました。
0:21
ここから林に入ります。溶岩原の中に突然こんな緑があるのが不思議です。ケンシン坊がシダやオヘロ、オヒアの花などを沢山見つけました。オヒアには蜂が沢山います。おいしい蜂蜜になりそう。のんびり10分弱歩くと林を抜け、また足元は溶岩トレイルになりました。
0:44
この辺りからはマウナロアの姿が一望出来ます。左右にゆったりと広がる裾野はどこまでも穏やかで、うっとりです。(この写真は2度目のハイキングで撮影したもの)
0:48
正面のプウフルフルに向かってパホエホエ溶岩の道を進みます。まるで舗装道路のように見えるでしょう? 歩きやすいので疲れも感じません。
0:53
マウナウルです。穏やかな雰囲気を保っていますが、頂上には噴火口があり、未だ噴煙が上がっていると聞きます。でもここからは確認できません。
この少し先で、30分ほどランチタイム。今日のお昼はサンドイッチとサーモンむすびです。
1:30
溶岩のタワーを見つけました。一面に溢れた溶岩が陥没した時に柱のように取り残されたのだそうです。ケンシン坊が動物の形をした溶岩を見つけたのもこの辺り。
1:45
周囲はまた林のようになってきました。ここはもうプウフルフルの麓です。鳥があちこちで鳴いています。でもなかなか姿を見せてはくれません。
1:57
麓の林を抜けました。左手にはプウフルフル、前方や右手には広大な溶岩原が広がります。所々陥没して大きな穴がありますが、黄色の目印とケルンを目安に進めば大丈夫。振り返ると、雄大なマウナロアがそびえています。
2:16
プウフルフルはすぐ左手にあるのに、なかなか上り口が見えてこない…と不安に陥った頃、やっと上り口が現れました。かなり回り込んだ辺りです。標識に従い、直進して丘を登ります。
2:20
なだらかな坂が続きます。ここは噴石丘なのですが、キラウエア・イキ火口にあるプウプアイのような荒々しさは感じません。周りは溶岩だらけなのに、ここだけが緑いっぱいの丘。苔むしている所もあって、雨がよく降るという話も納得です。
2:37〜3:00
山頂に着きました。小さな展望台になっています。360度のパノラマ・ビューは絶景です! ページ上部に掲載したプウオオの写真やパノラマ写真などは全てこの展望台から撮影したものです。
正面には特大のマウナウルの姿も見えます。よく見ると山頂付近がじわじわと陽炎のように揺れて見えるような気がします。噴煙は見えないけどガスが出ているのかな。山肌を歩いている人たちを見つけました。いいなあ、許可を取ってでも行ってみたい!
反対側には羅針盤のようなものが設置されていて、火口や山の名前が書かれています。マウナロアの稜線がくっきりと浮かびオヒアの原生林が広がる、こちら側の景色も最高です!また柵のすぐ横には木に覆われた小さなクレーターがありました。
3:00〜4:30
あんなに良い天気だったのに展望台を去る頃には雲が急に多くなり、帰路ではとうとう雨が降ってきてしまいました。降ったり止んだりしています。そしてスタートから4時間半後、駐車場に到着しました。ケンシン坊も完歩です。行きが3時間、帰りが1.5時間。行きに遊びすぎちゃったかな(笑) 別の日には2.5時間で往復できましたが、時間を競っているわけではないので、ゆっくり楽しんで歩ければいいんですよね。
◆トレイルで見つけたもの 
マウナケア(標高4205m)
2度目に歩いた時には天気がよく、歩きながら前方の左手にマウナケアを見ることが出来ました。山頂の天文台がキラキラ光っています。山の形もワイコロア側やヒロ側から見るのとはまた違うんですね。展望台に着いた頃にはもう雲に隠れて見えなくなってしまいました。
溶岩樹形
オヒアの森の跡です。溶岩が流れ込んで木の周りを囲み、そのまま木が朽ちてこんな風になります。この一帯は溶岩樹形がよく見られる場所。いろんな形や大きさのものがあるので面白いです。
オヘロ
ツツジ科のハワイ固有種。溶岩の上にまず根付く植物の1つがオヘロです。赤い小さな実が真っ黒な溶岩に彩を添えています。ナパウトレイルではあちこちに群生していました。
オヒア(和名:ハワイ・フトモモ)
ハワイ島の木であるオヒアはフトモモ科のハワイ固有種。オヒア・レフアとも呼ばれハワイの文化と縁深く、いくつもの言い伝えを持つ花です。ボルケーノにはオヒアの森がありトレイルでもお馴染みの花ですが、他の地域でも歩いていると見かけます。
ウルヘ(和名:コシダ)
ウラジロ科の固有種。プウフルフルに登る途中で沢山見かけました。紫の茎がいたるところですーっと長く伸びています。大人の身長を軽く超えるほどに成長しているものもありました。瑞々しい黄緑の葉が美しいシダです。
ポリゴナム(和名:ヒメツルソバ)
タデ科の外来種。ピンクのボンボンのような小さな花が一斉に咲いて、カーペットのように見えます。トレイルのあちこちで見かけました。日本でも園芸用に出回っているそうです。高温と乾燥に強く、肥えた土地は苦手という強健な草。上の写真では、ネネがこの花の上に座っています。
[2005年7月、8月、2006年3月、2008年7月、2009年8月]



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